
インフルエンザの季節の空気清浄機の選び方 ― 「除菌」「ウイルス抑制」の表示の読み方
乾燥する季節が近づくと、「除菌」「ウイルス抑制」と書かれた空気清浄機が店頭にも通販にも並びます。編集部で、ダイキン・シャープ・パナソニックの3社の公式ページを読み比べてみました。読んでいちばん引っかかったのは、数字そのものより、その数字が出た「条件」です。
最初に、はっきりさせておきます。空気清浄機は医療機器ではなく、「インフルエンザを防げる」とは言えません。予防の基本はワクチン・手洗い・換気・加湿で、空気清浄機は、そのうち換気を補う道具です。この特集では、表示の読み方と、仕様表の見方をまとめました。
1. まず、予防の基本
予防の基本は、ワクチン・手洗い・換気・加湿。空気清浄機は、窓を開けた換気を補う道具です。

厚生労働省の「急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(令和8年度冬季・令和8年9月30日版)には、インフルエンザを含む予防の基本が並んでいます。
- ワクチン:「インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されています」
- 手洗い:流水・石鹸による手洗いは、手指など体についた病原体を物理的に除去するために有効な方法で、感染症の対策の基本。インフルエンザウイルス・新型コロナウイルスには、アルコール製剤による手指衛生も効果があります
- 換気:「季節を問わず、十分な換気が重要です」
- 加湿:「特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です」
このQ&Aには、空気清浄機に触れた一文もあります。窓を十分に開けると室温を18℃以上に維持できない場合には、「換気不足を補うために、HEPAフィルタによるろ過式の空気清浄機を併用することが有効です」。窓を開けた換気が基本で、空気清浄機は、その換気を補うもの、という位置づけです。

2020年(令和2年11月27日付)の厚生労働省の資料には、もう少し踏み込んだ書き方があります(新型コロナウイルス対策として、冬の換気が悪い部屋について書かれた文書です)。窓を閉めて空気清浄機だけを使っても、十分な効果は得られない、と。
読者さん窓を閉めて空気清浄機だけ、というのではだめですか?
編集部厚生労働省は、窓を開けた換気が基本で、空気清浄機はその換気を補うもの、と書いています。窓を閉めて空気清浄機だけでは、十分な効果は得られない、という資料もあります。
2. 「除菌」「ウイルス抑制」は、何を言っている表示か
「ウイルス抑制」の数字は、試験室で測った結果です。ふだんの部屋の結果ではありません。
箱やカタログの「ウイルス抑制」は、たいてい試験室で測った結果です。人が暮らす部屋で同じことが起きる、という意味ではありません。メーカー自身がそう書いています。
- 「実使用空間での実証結果ではありません」
- 「数値は、実際の使用空間での試験結果ではありません」
3社の公式ページのどこにも、この一文があります。数字を見る前に、注記を読む。それだけで、見え方がかなり変わります。
3. 試験の条件を読む5つのチェック
数字の前に、条件を読む。見るのは、広さ・時間・浮遊か付着か・運転の強さ・どの機種で試したか、の5つです。
「99%抑制」の横に、条件が小さく書かれています。見るのは、この5つです。
- 空間の広さ:多くは「約25m³(約6畳)の密閉した試験空間」。ドアも窓も閉め切った部屋です
- 時間:浮遊するウイルスで約9分〜30分、付着したウイルスで約5〜10時間。条件によって幅があります
- 浮遊か、付着か:空気中に浮くウイルスと、物の表面についたウイルスは、別の試験です
- 運転の強さ:「強」「ターボ」運転の結果が多く、ふだんの運転とは限りません
- どの機種で試したか:製品ページの機種ではなく、「同等機種」や別の機種で試したことがあります。ダイキンとシャープは、1種類のウイルスで試したと書いています(パナソニックは、種類の数をページで確認できませんでした)

読者さん「99%抑制」は、部屋でウイルスが99%いなくなる、という意味ですか?
編集部違います。多くは、閉め切った約6畳の試験空間で、1種類のウイルスを使って測った結果です。ふだんの部屋の話ではありません。
読者さんじゃあ、数字は見なくていいんですか?
編集部見てかまいません。ただ、広さ・時間・浮遊か付着か・どの機種で試したか、を先に読みます。数字を読むのは、そのあとです。
公式ページの記載を並べた表(2026年10月22日に確認)
| ダイキン MCK907A(加湿ストリーマ空気清浄機) | シャープ(プラズマクラスターの共通ページ) | パナソニック ジアイーノ F-ML4000B | |
|---|---|---|---|
| 浮遊ウイルス | 約25m³(約6畳)の密閉空間。15分で99%以上抑制(北里環境科学センター。JEM1467:2026に基づく試験方法) | 約25m³(約6畳相当)の密閉空間。約9〜18分で99%抑制(パスツール研究所。JEM1467の性能評価試験) | 約6畳の密閉空間。約30分で99%以上抑制(北里環境科学センター。風量「強」・電解強度「強」) |
| 付着ウイルス | 約25m³(約6畳)の密閉空間。約5時間後に99%以上抑制 | 約25m³の試験空間。約7.5〜10時間で99%抑制 | ウイルスの付着の記載は確認できなかった(付着した菌は約18畳の試験空間・約12時間で99%以上抑制) |
| 試験した機種 | MCK907Aと同等機種(MCK904A)。ターボ運転 | KI-AX80など、ほかの機種(風量「強」など) | F-ML4000B |
| 試験の対象 | 1種類のウイルス | 1種類のウイルス | 「浮遊したウイルス」(種類の数は記載を確認できなかった) |
| 注記 | 「実使用空間での実証結果ではありません」 | 「実使用空間での実証結果ではありません。記載している効果は一例です」 | 「数値は、実際の使用空間での試験結果ではありません」 |
この表のウイルスの数字は、試験の条件がそれぞれ違うため、並べて勝ち負けをつけることはできません。条件の違いを見るための表です。
- 試験は、別の機種で行われていることがある。 シャープの KI-WX100 の製品ページには、ウイルスの試験は載っていません。数字はプラズマクラスターの共通ページにあり、試したのは KI-AX80 など別の機種でした。ダイキンも、MCK907A の試験を同等機種の MCK904A で行っています。
- 「約6畳」は、閉め切った試験空間のこと。 暮らしている6畳とは別物です。
- 「適用床面積」は、ウイルスを抑える広さではない。 たとえばパナソニックのページには、30分できれいにできる部屋の広さ、つまり集じんの目安、と書かれています。
- 機種の呼び名もちがう。 パナソニックの F-ML4000B は、公式の呼び名が「次亜塩素酸 空間除菌脱臭機」です。空気清浄機とは別の種類として、表に入れました。
4. 方式のちがい
方式の名前(ストリーマ・プラズマクラスター・次亜塩素酸)では、選べません。

公式ページでの呼び方は、3社で次のとおりです。
- ダイキン:ストリーマ。空気中の有害物質を吸い込んで抑制する、としています
- シャープ:プラズマクラスター。浮遊ウイルスの作用を抑える、としています
- パナソニック(ジアイーノ):次亜塩素酸。本体内の次亜塩素酸水溶液で、ウイルス・カビを抑制する、としています
方式の名前では、選べません。次の章で、仕様表から読める違いを見ます。
5. 3機種の仕様を並べてみた
3機種の仕様を、同じ項目で並べました。判定はしません。数字を見比べてください。
公式の仕様表から、数字を写しました。
| ダイキン MCK907A | シャープ KI-WX100 | パナソニック F-ML4000B | |
|---|---|---|---|
| 種類 | 加湿ストリーマ空気清浄機 | 加湿空気清浄機(プラズマクラスターNEXT) | 次亜塩素酸 空間除菌脱臭機 |
| 風量 | ターボ 9.0m³/分(しずか 2.0・弱 3.4・標準 4.6) | 強 10m³/分(加湿空気清浄運転の強は 7.9m³/分) | 強 約2.0m³/min |
| HEPA | 静電HEPAフィルター(TAFUフィルター) | 仕様表に「HEPA」の記載はなし(nanoHDフィルター) | 付属品に「保護エレメント(HEPAフィルター)」 |
| 適用床面積 | 空気清浄・加湿空気清浄とも ~47m²(~28畳) | 空気清浄 ~28畳(46m²)/加湿空気清浄 ~22畳(37m²) | 除菌・脱臭 ~18畳(30m²)/集じん ~8畳(13m²) |
| 加湿 | あり(加湿量1,050mL/時) | あり(気化方式・最大1,100mL/h・水タンク約4.3L) | 加湿の記載なし(仕様表の加湿の適用床面積は「ー」) |
| 大きさ | 高さ777×幅352×奥行315mm・14.5kg(水無し) | 幅427×奥行305×高さ700mm・約14kg | 高さ450×幅280×奥行185mm・約5.7kg |
| 運転音 | ターボ 54dB/しずか 22dB | 強 53dB/静音 21dB(空気清浄運転) | 強 約48dB/弱 約15dB |
読者さん適用床面積が広い機種は、ウイルスにも強いんですか?
編集部そうとは限りません。たとえばパナソニックのページでは、適用床面積は、30分できれいにできる部屋の広さ、つまり集じんの目安と書かれています。ウイルスを抑える広さの数字ではありません。
- 前の章で引いた国の資料の目安(新型コロナウイルス対策として、冬の換気が悪い部屋について書かれた令和2年11月27日の資料)は、「HEPAフィルタによるろ過式で、かつ、風量が5m³/min程度以上のもの」「人の居場所から10m²(6畳)程度の範囲内に空気清浄機を設置すること」「空気のよどみを発生させないように、外気を取り入れる風向きと空気清浄機の風向きを一致させること」です。インフルエンザの資料ではありません。この特集では、機種ごとに合うかどうかの判定はしません。表の数字と見比べてください。
- 運転の名前は、社ごとに違います(ダイキン:しずか・弱・標準・ターボ、シャープ:静音・中・強、パナソニック:弱・中・強)。表の風量・運転音は、それぞれの運転名のまま写しています。比べるときは、運転の名前に気をつけてください。
- ダイキン MCK907A:加湿も1台で済ませたい人に向きそうです。タワー型で、置く面積は幅352×奥行315mmと小さめ。公式のおすすめポイントは「大風量&省スペース」です。広いリビング向けの数字が並んでいます。
- シャープ KI-WX100:数字の大きい機種です。適用床面積も加湿量も大きく、広い部屋で加湿もまとめたい人に向きそうです。
- パナソニック F-ML4000B:仕様表に加湿の記載はありません。小型で約5.7kg、運転音は弱で約15dB。寝室や小さめの部屋に置いて、除菌・脱臭を使いたい人に向きそうです。塩タブレットを使うので、塩と水のお手入れが苦にならない人向けです。加湿は別の機器でまかなう形になります。
- 大きさと重さ:ダイキン(高さ777mm・14.5kg)とシャープ(高さ700mm・約14kg)は、どちらも据え置きの大きさです。置き場所が決まっている人向けで、部屋ごとに動かしたい人には、パナソニックのほうが扱いやすい数字です。
6. 部屋ごとの見方
寝室は運転音、リビングは広さ、子ども部屋はお手入れと置き場所から見ます。



寝室:まず、いちばん静かな運転の音を見ます。ダイキン「しずか」22dB・シャープ「静音」21dB・パナソニック「弱」約15dB。運転の名前は社ごとに違うので、同じ土俵の数字ではない点に気をつけてください。加湿の有無も、冬の寝室では気になるところです。
リビング:広さが決め手になります。適用床面積(空気清浄機は「30分できれいにできる広さ」の目安)と、実際の畳数を見比べます。人が長くいる場所なので、国の資料にある「人の居場所から10m²(6畳)程度の範囲内に置く」という目安も、置き場所を考える手がかりになります。
子ども部屋:加湿や次亜塩素酸の機種は、水まわりのお手入れが必要です。そのぶん、お手入れの手間を、仕様表と説明書で確かめます。置き場所は、手が届きにくいか、コードに足を引っかけないかも考えどころです。
7. 編集部が仕様表を見る順番
畳数 → 加湿 → 風量とフィルター → 運転音と大きさ → ウイルス抑制の数字(最後)。

迷うときは、この順で見ます。
- 部屋の畳数と、適用床面積。 まずここです。ウイルスの数字より先に、この数字の意味(集じんの目安)を押さえます
- 加湿が要るか。 要るなら、加湿量と水タンクの大きさ、お手入れの手間を見ます
- 風量とフィルター。 国の資料の目安と、見比べます
- 運転音と大きさ。 寝室・置き場所で効いてきます
- ウイルス抑制の数字は、いちばん最後。 条件(広さ・時間・浮遊か付着か・試験機)を読んだうえで、参考にとどめます
8. よくある質問
よくある3つの疑問に、厚生労働省の文を使って答えます。
Q. 空気清浄機を使えば、インフルエンザは防げますか?
防げるとは言えません。予防の基本はワクチン・手洗い・換気・加湿です。空気清浄機は、換気を補う道具です(厚生労働省の資料)。
Q. 「99%抑制」は、自分の部屋でも同じですか?
同じとは限りません。閉め切った試験室で測った数字で、公式ページにも「実使用空間での実証結果ではありません」とあります。
Q. 空気清浄機があれば、換気はいりませんか?
いります。厚生労働省は、換気が重要と書いています。窓を閉めて空気清浄機だけでは、十分な効果は得られません。
9. 価格なびで比べる
気になる機種は、型番で価格を比べられます。
気になる機種は、型番で価格を比べられます。
値段は変わるので、ここには書いていません。今の値段は、価格なびで見てください。
このページから価格なびの検索の結果に移り、そこからお店で買い物をされると、価格なびに紹介料が入ることがあります。
出典と確認日(2026年10月22日)
- 厚生労働省「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(令和8年9月30日版)
- 厚生労働省「冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気について」(令和2年11月27日)
- ダイキン工業 MCK907A 製品ページ(「空気中の有害物質」「風量」「加湿」「TAFUフィルター」)・「空気清浄機 仕様一覧・比較」/シャープ KI-WX100 製品ページ・仕様/寸法ページ・「プラズマクラスターの効果」/パナソニック ジアイーノ F-ML4000B 製品ページ・仕様ページ(いずれも公式サイト。試験の条件は各ページの注記による)
- 試験の規格:日本電機工業会規格 JEM1467(ダイキンのページは「JEM1467:2026」と表記)
価格なび編集部

